出向く食育「さいたまの料理人と、料理を楽しもう」
2024年2月8日/2月15日
〇日時 2024年2月8日(木曜日) 2時間目、3時間目
2024年2月15日(木曜日) 2時間目、3時間目
〇場所 埼玉県春日部市立牛島小学校 家庭科室
〇内容 1日目「おいしさを感じるアンテナをチェックしよう」
2日目「シェフといっしょに料理しよう」
〇講師 1日目 松成容子(当会代表理事)
2日目 神田 智(当会理事、オープンセサミ オーナーシェフ)
※埼玉県春日部市立牛島小学校は農林水産省の第8回食育活動表彰を受けました。その活動の様子が以下の動画で見られます。
もぐもぐの「出向く食育」は10年以上
もぐもぐの食育活動は、多くの場合「募集して、その気のある人が集まる」やり方です。
でも、本当に食育が必要な人は、「その気がない」か「集まれない事情がある」人たちではないか。もぐもぐの中でそんな疑問の声が上がったのが15年ほど前のこと。ならば小学校へ、こちらから出向こうよ。それが埼玉県の補助金をもらって初めて実現できたのが2011年のことでした。片道100キロの遠距離小学校も、町中で膨大な生徒数のいる小学校も、依頼があれば積極的に出かける日々でした。
以来、「出向く食育」と銘打って、今でも通い続けているのが春日部市立の小学校。補助金が全く出なくなっても、「ぜひに」と熱い声をかけてくれ、準備をして呼んでくださる栄養教諭の「横川一美先生」という存在があればこそ続いてきた10余年です。NHKの「あさイチ」に松成が出た時も撮影に協力していただきました。
学校側は、教科の時間を削って学年全体の予定をそろえ、こちらの事前アンケートに答えるだけでなく、材料費の手当て、材料や部屋の準備とそれはそれは大変です。もちろんコロナ下はモノを口にできないので創意工夫を凝らし、口以外の4つの感覚器(目、鼻、耳、手)でワクワクさせて感動させて、それでも「静かに、静かに」と声を抑えつつ・・・・子どもたちは可哀そうだったけど、もっと静かな給食時間を強いられていた日々だったので、キラキラと目を輝かせて一緒に学んでくれました。
コロナが明けて、2023年度は2日間コースを実施
では、一体どんなことをするのか?
スタートしたころは3日間コースでした。1日目に五味五感の確認、2日目はその小学校の地域の生産農家さんを呼んで話を聞き、その季節の旬のもののお味見をします。3日目はプロの料理人が来て、2日目の野菜をみんなで一緒に調理して、1日目の五感でおいしさを共有する、というものです。
しかし、年々忙しくなる小学校カリキュラムでは2日間で精一杯。それでも「食育は大切だから」と理解してくださるのが牛島小学校の先生方。日頃からの横川先生の主張に理解があるのです。結果、昨今の牛島小では1日目は五味五感、2日目にシェフと一緒の料理会としています。
1日目は「みんなのおいしさのアンテナ」をチェックする日
1日目はどの科目にもあてはまらない時間です。正解もなければ、間違いもない。一人一人が自分の感度を自覚できればいい。だから、普段は手を上げない子どもたちが、どんどん手を上げる、と担任の先生は驚きます。
まずは五感のお話をして、次は五味の体験授業。「わあ、しょっぱ」とか「これ、罰ゲーム?」などと大騒ぎ。最後に数種類の味を混ぜたジュースを飲んで、入っている食べ物を当ててもらいます。
お手伝いで来てくださる保護者の方々や先生方が最も驚くのが、苦さの感度。少し苦めのチョコレートを準備しますが「おれ、へーき」という声もあれば、「にがーい」と顔をしかめる人も。苦さの感度は人による差がとても大きい。それが個性だと、互いに認め合う瞬間です。
ここ数年は「苦いチョコレートが平気」という人の割合が増えている印象です。
2日目は、シェフがやってきます。「だいこんを、焼く??」
牛島小学校は、日ごろから地元の農家さんとの交流もあるし、大根を自分たちで植えることもある。ならばとあえて2日目を飛ばして3日目のプログラムを第2日目に。
20年越しでもぐもぐと歩んでくれている相棒、神田智シェフに「だいこんをテーマに」と投げかけると「ああ、行けるでしょう」と二つ返事。そして提案されたのが「焼きだいこんのチーズかけ」でした。
下茹でしただいこんをフライパンで焼いて、塩こしょう、砂糖、チーズと味を足していくこの料理には、まさしく五味が含まれています。リゾットと一緒に食べるとおいしいという神田シェフのおすすめで、トマト味のリゾットも登場しました。
いい匂いが立ち込める教室は、穏やかに楽しそうに過ごす子どもたちの笑顔で満たされていきます。まだ給食は一人一人が前を向いて個々に静かに食べているとか。この日だけは各班でワイワイと弾む会話が許されて、「やっぱり食事はこういうのがいいね」と大人も目を細めた日でした。
牛島小学校は、日ごろから地元の農家さんとの交流もあるし、大根を自分たちで植えることもある。ならばとあえて2日目を飛ばして3日目のプログラムを第2日目に。
20年越しでもぐもぐと歩んでくれている相棒、神田智シェフに「だいこんをテーマに」と投げかけると「ああ、行けるでしょう」と二つ返事。そして提案されたのが「焼きだいこんのチーズかけ」でした。
下茹でしただいこんをフライパンで焼いて、塩こしょう、砂糖、チーズと味を足していくこの料理には、まさしく五味が含まれています。リゾットと一緒に食べるとおいしいという神田シェフのおすすめで、トマト味のリゾットも登場しました。
いい匂いが立ち込める教室は、穏やかに楽しそうに過ごす子どもたちの笑顔で満たされていきます。まだ給食は一人一人が前を向いて個々に静かに食べているとか。この日だけは各班でワイワイと弾む会話が許されて、「やっぱり食事はこういうのがいいね」と大人も目を細めた日でした。
参加者のみなさんの声
食は「おいしいね」といいながら、誰かとニコニコ食べられることが一番の幸せです。自分の感度を信じて、いろんな自然の味わいを見つけながら味覚を成長させ、好き嫌いを少しでも減らして多彩な人とテーブルが囲める大人になってくれたらきっともっと幸せな世の中が来る。そう信じればこそ「ここから10年の間にぜひ、味の感覚を大きく広く、育ててね」と毎年伝えています。
参加者のみなさんの声
〇いままでは、ポテトチップスのいろんな味を食べて来たけど、(今日、茹でただけの大根を食べて)今度からは自然のものの味をいろいろそのまま味わってみたいと思いました(小4男子)。
〇大根は苦手だったけど、料理の方法をアレンジしたことで違う印象になって、大根をじっくり味わうことができました(小4女子 )
●息子は、食には興味があるのに好き嫌いが多い。ちらっとたれをなめてみて「いらない」なんてすぐ言うんです。それが今日は食べてましたねえ。気に入ったのかな。(4年男児の母)
●男の子って、自分から「食育の学習に手伝いを募集をしているから来て」なんて言いにくいらしくて、「来てみたら? 料理が上手になるかもよ」って。それで来たんです((笑))。(4年男児の母)