もぐもぐ特別企画「家族で行こう 能登の海 聞いてみよう 海の変化」体験ツアー
○日時:2025年7月22日(火) 23日(水) 1泊2日
○場所:石川県金沢駅集合・解散。能登半島を車で一周 輪島泊
○内容:石川の漁業関係者や食に関わる専門家を訪問。インタビュー&共働体験
○企画協力:石川県漁業協同組合、輪島支所、珠洲焼の窯元の方々、
和倉温泉「ホテル海望」孫八清史料理長、鵬学園高校生徒さんたち
○(公財)浦上食品・食文化振興財団 R7食文化復興支援事業支援活動
あれから月日が過ぎて、なお思い出す能登の旅 ~もぐもぐ松浦美恵子のレポート~
◆旅行気分でいいの?と葛藤
金沢に行くのはこの前が人生で初めてでした。元旦に大きな地震があって「気の毒だなぁ」、続いて豪雨の被害にも被って「大変だなぁ」、と対岸の火事ならぬ対岸の災害でした。
そんな折、NHKの『新プロジェクトX』という番組で「能登半島 炊き出し10万食~地震と豪雨 地元を支えた食の力~」という話を見て、打ちのめされても打ちのめされても立ち上がって前に進もうとする地元料理人と仲間たちの姿に感動したのです。ですからもぐもぐの能登ツアーに参加できた事はとても有意義な体験になりました。
初日は、金沢港のそばにある石川県漁協と、そのあと車で2時間ほどの輪島漁港を訪問し、海の話、特に地震後の港の復興についてお話を伺いました。輪島では海底が約2メートル隆起し、水深が浅くなり船が出せない日々が続いたそうです。漁ができない漁師は、他の街に仕事を求めて行ったり、生活の為に復興の土木現場などで働き始めたりで、そのまま漁師に戻らない人もいるとか。切ない気持ちになりました。
翌朝、漁から戻って水揚げされる魚を見に輪島港に向かいます。朝の港で働いている一人の女性に話を聞くことができました。彼女は釣り人の旅館を経営していてご主人は漁師とのこと。地震で旅館の建物や家が崩れ、漁にも出られず……避難所で生活していた時に高齢のお父様は亡くなってしまったそうです。旅館の再開はまだできないので港でアルバイトをしてるとの事でした。彼女に「こちらへは旅行ですか?」と聞かれ困った自分が居ました。彼らは生活に追われているのに、彼らの土地にお邪魔して旅行していいのだろうか?と思ったのです。その後、旅行中ずっとこの気持ちを引きずるのでした。

◆能登はやさしや土までも
「能登はやさしや土までも」。これは人だけでなく土までも優しい、という能登の風土と能登の人の素朴で純粋でねばり強い気質を表した言葉だそうです。
能登の人は優しい、と実感したエピソードがあります。私は二日目にお伺いした一軒の窯元でメモノートを置き忘れてしまったのですが、後日、丁寧にこちらに郵送してくださいました。手紙が添えてありました。『遠い能登まで来ていただきありがとうございました(中略)皆さんが関心を持ってくれる事が一番の励みになります。まだまだ復興とはほど遠いかと思いますが、努めてまいります』と。
能登を支援しようなどとおこがまし気持ちはありません。この手紙を読んで私にできるのは大切な友人のように能登を思い出したり、皆に「能登っていいところだよ」と伝え、話題にして訪問をおすすめする事だと思いました。『彼らの土地にお邪魔して旅行していいのだろうか?』とモヤモヤしていた気持ちは今はなくなりました。帰宅後も機会がある度に小さな応援をしています。

お寿司屋さんで能登の地酒、飲んでます

私が主催するチーズセミナーで能登の「ふぐの子」「金糸瓜」「鯛の笹漬け」を紹介
(報告 松浦美恵子)



