■ 松成容子の「話食はおいしい その9」
CONTENTS
1) プロに習う 初めてのパン作り
2) ロデヴを食べて楽しむ会 in 京都 そして 横浜
3) 鴎外の旧居跡で、十三夜に日本料理をコースで味わう会
大人の夏休みはお盆で一区切り、ですが、子どもたちの
夏休みは今が終盤。私も夏休み最後の3日は、カレンダーと
時計をにらみつつ、親に叱られながら、涙目で夜中に
風景画を仕上げていた思い出があります。
今年の夏は、自然の並々ならぬ異常さを感じました。
私たちは、自然の中に暮らしている、ということを真摯に
考えながらも、人は人と生きていく。
最近、そんなことを考えるようになりました。
京都大学の山際寿一教授によると、動物はみな、
群れで暮らすサルでさえ、食べるときはなるべく仲間と
離れるといいます。しかし、人間は同じ物を一緒に食べる
ことによって共に生きようとする、生きているという実感が
わいてくる。それが信頼する気持ちや共に歩もうとする
気持ちを生み出すのだといいます。
人が人と生きていく、を実感することに「背中を押す」
という行為があります。
そもそも、私が6月に本を出せたのは、もぐもぐの
長年の仲間のMさんが、何年も何年も、あきらめることなく
私の背中をそっと、そっと、押し続けてくれたからです。
さらにいま、もぐもぐの食の館構想の背中をずずずっと
押してくれているHさんも、心強い勇気をくれる仲間です。
他にもたくさんの背中を押し合える人たちと生きていればこそ、
たくさんの幸せが手に入るチャンスがある。
食べ物の好き嫌いも、そっと背中を押し続けることが、
クリアへの道かもしれません。
1) プロに習う 初めてのパン作り
去る8月20日。プロはホテルオークラの塚田俊夫シェフ。
習う初めてさんは埼玉県のたくさんの市から集まってくれた
小学生たちでした。粉に油、水、パン酵母、砂糖を入れて
ぐちゅぐちゅぐちゅ。じっとりとした湿度と温度がパンを
育てると、身を持って体験する会でした。
お昼には自分で作ったピザと、ホテルオークラで3日かけて
作り上げられたというべっ甲色のコンソメスープをいただきました。
お土産は、自作のハードロールに菓子パンでした。
2) ロデヴを食べて楽しむ会 in 京都 そして 横浜
ハード系のパンといえば、もぐもぐから出た「ロデヴの会」も
夏は活発でした。
8月4日は京都で、たま木亭の玉木潤シェフがドンク仁瓶利夫氏と
一緒に技術講習会と食べて楽しむ会を1都2府12県から集まったお客様と。
また8月26日は横浜市青葉区のベッカライ徳太朗の徳永久美子さんが
料理とともにロデヴを食べて楽しむ会を開催してくださいました。
ごろっと大きく無骨なパンを、みんなで分け合って、ほおばって
しゃべって、笑って、ワインを飲んでまたロデヴ。
「いろんなロデヴがあるのね」「今度はうちでやってください」。
人がたくさん集まるのも、また、楽しいことです。
3) 鴎外の旧居跡で、十三夜に日本料理をコースで味わう会
さて、そろそろ外は秋の虫の声。今年はまだ暑いうちに十五夜が
きてしまうので、あえて十三夜にと、和食の良さを楽しむ会を
10月3日(金)の夜に設定しました。東京では珍しい日本家屋と
中庭。そのわずかなすきまから見える空に、お月様が見えるか
どうかは、いま調べ中です。
文豪・森鴎外が舞姫を書いたという家屋の、もっとも縁側に近い
和室に並んで、懐石料理をいただきます。
作ってくださるのは、この旧居跡がある水月ホテルの総料理長で
当会の理事でもある大河原実氏です。
子どもたちに、和食のすばらしさ、日本の秋の情緒などを引き
継ぐためにも、まず大人から。
お時間のある方は、秋の夜をぜひ、上野でご一緒しませんか。
松成 容子 (NPO法人 食育研究会Mogu Mogu 代表)