○日 時:2017年4月22日(土) 12:00~14:30
○場 所:東京・上野(台東区) 水月ホテル 鴎外荘「舞姫の間」
○内 容:「陽春の頃」懐石料理を楽しむ
・端午のいわれの料理と江戸東京野菜について、大河原料理長のお話
・明治の文豪「森鴎外」と、鴎外荘の歴史について、女将からのお話

上野の桜が終わって若葉が芽吹き始めた4月下旬のお昼時、
端午の節句にちなんだ料理も盛り込みながら懐石料理をいただく会を、
築131年の鴎外荘「舞姫の間」で開催しました。

釘を一本も使わず、樹齢700年の杉で作られているという建物と続く中庭は、
若葉がまぶしく、日本の古き良き時代の趣があふれました。

女将の中村さんのお話では、
「第二次大戦時、アメリカは戦争終了後、東大を使うつもりで
上野の森一帯を爆撃しませんでした。おかげでこの鴎外荘も残ったんですよ」とのこと。
鴎外の天才ぶりや東京で第一号の天然温泉についてもお話下さいました。

お料理は、旬菜のお膳からスタート。
端午の節句料理のひとつ鯉の朦朧煮や緑の葉っぱのふたなど、ワクワクのお皿が並びます。

続くお椀には、青パパイヤが屋羽の飾り切り。
下は鯉のぼりの吹流しのイメージです。

刺身のうえにはしょうぶの葉。
「今日は花ショウブの葉なのでちょっと香りが弱くてすみません」と大河原料理長。
その下に並んでいたのは、祝いの膳として「鯛」をぬるま湯で洗って抹茶をくぐらせたもの、
太刀魚焼霜作り、鮪重ね、いかなど。
すがすがしい色合いに春の風を感じます。

このあと、焼き物には出世魚の「福子」の蓼酢焼きや焼き竹の子古武士が登場し、
続いて温物は牛テールの赤味噌仕立て、揚げ物と続きました。

食事には笹包みと香の物でした。

仕上げの水菓子には「矢羽」ういろう。
中央の矢はさつまいもの素揚げだそうです。

解説は当会理事でもあり、昨年現代の名工に選ばれた、大河原実総料理長。
「端午の節句というお題をいただいて作りましたが、
全体としては春、陽春とさせていただきました」といいつつも、
祝い、出世、勇ましく育ってほしい子どもへの願いが込められたものが
あふれていました。

なお、食材には今話題の江戸東京野菜の
「シントリ菜」「後関晩生小松菜」「東京ウド」も登場。
「ちょうど今が端境期で、手に入れるのが大変でしたが、
盛り込むことが出来てほっとしています。
原種に近いのでそれぞれの味が濃いのが特徴です」。

話題も豊かに、大人ばかりのワイワイと楽しく「美味しいね」の会となりました。
次回は冬の予定です。

(報告 松成 容子)